色々とありそうで、でも目的も無く観光に来ても行く場所に困る街、名古屋。
そんな名古屋をPRするべく、「名古屋観光相談会」を立ち上げたヒキニートの男が、名古屋の観光地の魅力を語りながらも、決定力に欠ける事を嘆き続ける日々。
そんな中、ある少女との出会いがヒキニートの人生を変えていく。
そんなどこかで読んだことがあるようなライトノベルをモチーフにした、名古屋の観光ガイドです。
これを読めば、ワンランク上の名古屋観光を楽しめる事間違いなし!
第1話-やはり名古屋の観光に来るリア充は間違っている。
名古屋観光相談会。
そんなホームページを立ち上げ、3ヶ月が経過しようとしていた。
アクセス数はそれなりに伸びたものの、やはり名古屋という街はいちいち決定力に欠ける事が多い。
まず、立地の問題である。
それなりに魅力のある観光資源をそれなりに保有している街であるにも関わらず、それを活かせない絶妙な距離が施設間に置かれている。
これでは、単体では魅力に欠ける施設に来場する観光客は減る一方だ。
しかしそのジレンマを解消するのは、自分の仕事ではない。
まぁこのホームページすらも、仕事というわけでは無いのだが…、ただの自己満足で、名古屋観光に来ようと考えている人々に、名古屋の現実を伝える。
それが、自分の役割であると思っていた。
ある日、問い合わせフォームに1通のメッセージが届いている事に気付いた。
こういった事は、稀にある。
「ここでは紹介されていないような穴場は無いのか」とか、そういった問い合わせばかりであるが、そんな物は無い。
そもそもインターネット様で検索して、すぐに出てくるような観光地や施設しか、名古屋には無い。
そして紹介されているそれは、決して多くはない。しかし名古屋に観光に来る人々は、名古屋という土地に対して幻想を抱き、未知の何かを求めたがるのだ。
今回もどうせそんなメッセージであろうと、軽い気持ちで未読メッセージを開く。
相談者の名前は…大高 和音。
続くメッセージには、こうあった。
Sub:【お願いがあります!】
初めまして。突然のメッセージですいません。
実は今度、中学の頃から好きだった先輩と、名古屋に遊びに行く事になりました。
そこでお願いがあります。
絶対に盛り上がる、デートプランを一緒に考えてくれませんか?
このメッセージを読み、苦笑いどころか思考が停止する感覚に陥る。
よりにもよって、自分が最も忌み嫌う いわゆる「リア充」という人種の幸せを願いながら、経験した事も無いデートコースを練れ だと?
爆ぜろリア充!なんて送信しそうになる手を必死に止め、淡々と定型文の送信を開始する。
えーと…
あなたやその先輩とやらの趣味であったり、好きな物がわからないので答えようがありません。
興味の無い場所に行っても、盛り上がる事も無いでしょうし、人それぞれ感性も違います。
…とりあえずこれで、送信 っと…。
ニートである事を忘れ、一仕事終えたようにコーヒーを啜る。
しかしメッセージは、すぐにやって来る。
Sub:そうですよね…
わかりました。
でもどうしても成功させたいので、実際にお会いして、色々と名所を教えてくださいませんか?
ちゃんとお礼はします!
…これは予想外の展開だ。
釣りか?行ったら怖いお兄さんが出てきて身ぐるみ剥がれたりするのか?
どう考えても危険。しかし釣りではない「場合」という、何の信憑性も持たない希望が脳内で揺らめく。
しかしこれだけは、言っておかねばなるまい。
自らに言い聞かせる意味でも。
…ネットに出会いを求めるのは、間違っている。
この小説は、カクヨムで連載されていた私の観光ガイドだよ~!
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