地下鉄に揺られ到着したのは、デートスポットとしては定番の「名古屋港水族館」であった。
しかしこのエリアに来て、名古屋港水族館だけを楽しんで帰るのは非常に勿体ない。
なぜならこのエリアには、「名古屋港水族館」「海洋博物館」「ポートビル」「南極観測船ふじ」などの魅力的な施設が密集しているからだ。
ちなみにドニチエコきっぷを持っていれば、水族館が1800円、他の三施設の料金が580円になる。
これはドニチエコきっぷ無しでの四施設利用券の2400円よりも若干安くなる程度で非常に微妙な差であるが、名古屋港水族館に来て帰るだけでも、往復の地下鉄代と割引分でドニチエコきっぷ利用がお得となる。
だが、このガーデンふ頭エリアの魅力はこれだけではない。
「とりあえず今日は下見だから、水族館に入ったつもりで説明を続けるね。いいかな?」
「はい!」
水族館を横目に見ながら、中川 八熊は水上バスの発着地点に向かって進む。
ここガーデンふ頭から、直線距離で言えばなかなかに近い場所に「ワイルドフラワーガーデン」という場所がある。
入場料が比較的安く、穴場的なスポットである。
しかし名古屋港水族館からのアクセスが、この水上バスを使わないと非常に悪い。
ただ、デートで水上バスに乗る というのも一興ではないか とも思うのである。
名古屋港水族館を見て、展望台や海洋博物館を見て帰るだけでも十分に楽しめるとは思うが、これらの施設をサラッと見終わってしまった場合には、ワイルドフラワーガーデンを強くオススメしたい。
ちなみに水上バスは500円と微妙な値段設定だが、単なる移動ではなく「名古屋港の楽しみ」という点では、一つのイベントにもなる。
そんな水上バスに乗船し、ワイルドフラワーガーデンに到着した2人は、決して良いとは言えない環境の中、たくましく育つ花を眺めていた。
ここワイルドフラワーガーデンは、港エリアという養分も少ない荒れた土地にも適応できる、ワイルドな花が数多く植えられている。
綺麗なだけの花も良いが、しかし生命力に溢れ、しっかりと上を向いて咲き続けるその花が、中川 八熊には少し眩しく見えた。
「いい所ですね。」
そう言って笑う美少女の笑顔は、もっと眩しく見えた。
「良かった。まぁ水族館とかは本番の楽しみに取っておくとして、なかなか港エリアは定番でありながらも楽しめると思うよ。」
そんなガイドを交えながら、中川 八熊は「次」を考えていた。
まだ昼前。もう1パターンくらいは、今日のうちに紹介できそうだ。
とりあえず移動して、昼飯とするか…。
そんな事を考えながら、中川 八熊は口を開く。
「よし、次は少し歩くルートになるけど、いいかな?」
「はい!」
相変わらず眩しい笑顔で、元気に返事をする美少女。
そんな美少女を連れ、ヒキニートは普段乗らないバスと地下鉄を乗り継ぎ、次の目的地へと向かった。
既に筋肉痛である。
あぁ…やはり、ヒキニートがリア充体験をするのは、間違っている…。
この小説は、カクヨムで連載されていた私の観光ガイドだよ~!
これまでのおはなし
1話-やはり名古屋の観光に来るリア充は間違っている。
2話-ネットの名前はハンネだと思った?
3話-やはりこんな青春ラブコメは間違っている。
4話-電脳男と青春女
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